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『 もしもの日本史・創作シリーズ 光秀と藤孝 』

菊池道人

もしもの日本史・創作シリーズ

菊池道人

光秀と藤孝 第五回

血を分けた兄と干戈を交えるかもしれないという不安の中、藤孝は改めて藤英の人物像について考えた。

断じて節を曲げぬ一途さは、藤孝も弟として好ましいと思っていた。むしろ武士としてのあるべき姿を自分よりも具現化しているという認識もある。

藤孝も武勇に関しては人後に落ちないが、それまでの生き様を振り返るに、臨機応変に対処しているというような印象を人々に与えていたような気がする。あるいは、要領が良いという受け止め方もあるかもしれない。

室町幕府の再興を志してはいたが、すでに統治機構としてもその棟梁たる義昭の器量にも身命を賭してまで尽くすだけの値はないものと見限っていた。

藤孝としては時勢を読んでのことであり、天下万民のためという信念もあったが、見方によっては潔さには欠けるかもしれない。

やはり武士には竹を割ったような真っすぐさこそが好ましい。世渡り上手は世間の人々にあまり良い印象は与えないかもしれない。そう思うと、兄が羨ましくも感じられた。

確かに藤英は視野の狭さはあるが、ひたすらな勇敢さがあれば、武士として何を恥じることがあろう。

やはり兄は敬愛すべき人物であるのだ。それだけに敵とするのは不本意なことであり、どうしても避けたかった。

義昭と信長は元亀四年(1573) 四月に一旦は和議が成立するも、七月にはまたしても敵対、

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