スポーツは文芸をどのように彩ってきたか
玉木正之
スポーツは文芸をどのように彩ってきたか
玉木正之
第一回 スポーツそのものを描いた小説~ヘミングウェイ『老人と海』の凄さ、素晴らしさ!
私はヘミングウェイの『老人と海』の素晴らしさが、長い間まったく理解できなかった。
一人の老人がカリブ海で小舟を操り、巨大なカジキと格闘し、仕留める。ところが帰港途中に鮫の群れに襲われ、獲物のカジキを奪われる。たったそれだけのストーリー。その話のどこが素晴らしいのか、まるで理解できなかった。
が、あるとき、これはひょっとして物凄い作品なのだ、と思うようになった。それは私がスポーツライターとしての仕事を始めて15年余り、40歳近くになって改めて「スポーツとは何か?」という疑問を抱き、スポーツの勉強をやり直し始めた頃のことだった。
そのとき出逢ったのがルネサンス期の詩人ペトラルカ(1304~1374)で、
登録初月は無料
ここから先をお読みいただくには
会員登録をお願いいたします
登録をすると、創刊号(2020年2月1日号)からのバックナンバーをすべてお読みいただけます。