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『 俳句で味わう、日本の暮らし 』

黛まどか

俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

第三回 八十八夜

立春から数えて八十八日目、新暦の五月二、三日頃に当たる。八十八夜を過ぎれば朝の冷え込みも弱まり霜も降りなくなるため、農家では種まきや茶摘み、養蚕などの目安にしてきた。また、〝米〟という字が〝八十八〟に通ずるため、稲作では縁起をかついで苗床に種を播くのに適した日とする。重要な農事の基準となる八十八夜は日本で生まれた「雑節」の一つで、暦には明暦二年(一六五七)から記入されるようになった。かつてはこの日、粥を炊いて田の神に祀るなどの神事をする地域もあった。

花過てよし野出る日や別れ霜

高井几董

〝八十八夜の別れ霜〟〝八十八夜の忘れ霜〟という言葉の通り、八十八夜は霜が降りる最後の頃。ちなみに終霜の平均は、盛岡市で五月三日、青森市で四月二十七日だそうだ。稀に立夏を過ぎてから霜が降ることがあるが、この晩霜は農作物に甚大な被害を及ぼすため〝九十九夜の泣き霜〟と恐れられている。

几董は京都生まれの俳人で、与謝蕪村の高弟。吉野にしばらく滞在し花見を楽しんだのだろう。花時も過ぎ、吉野を去ろうという日の朝に名残の霜が降りた。吉野は多くの詠み人が歌を残した桜の名所であると同時に、

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