アマネク ハイク
神野紗希
アマネク ハイク
神野紗希
第九回 二千円のお月さま
月を買った。
両手におさまる大きさで、ひょいっと軽い。つんと触れれば、やわらかい光を放ちはじめる。寝室の闇にそっと浮かべ、寝っ転がって眺めては、あれが静かの海、そっちが雲の海、と地形の陰影をたしかめる。毎日充電が必要で、夜に灯すと、朝が来るころにはひとりでに消えている。
お値段は二千円ほど。インターネットで注文した月のかたちの間接照明で、
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