【登録初月無料】8/31まで新規登録でAmazonギフト券が当たる!  今すぐチェックする

『 俳句で味わう、日本の暮らし 』

黛まどか

俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

第十五回 端午

端午は旧暦五月五日で、中国の風習を起源とする五節句の一つ。〝端〟は初めの意で、五月最初の午の日をさすが、〝午〟と〝五〟は中国語でおんが同じなので、後に五月五日となった。五が二つ重なるので〝重五〟ともいう。

旧暦の五月五日はちょうど梅雨入りの頃なので、気温も湿度も上がり、疫病や害虫が発生した。そこで古くは、よもぎでつくった人形などを門戸に吊るして邪気を払ったり、〝薬猟くすりがり〟といって山野で薬草や鹿の若角を競い狩る風習があった。

中国では今も旧暦の五月五日に、疫病退散や厄除けのために端午の節句を祝う。菖蒲や蓬を吊るし、ちまきを食べ、龍舟(通称ドラゴンボート)で競い合う〝競渡〟をする。競渡は、春秋戦国時代を代表する詩人で政治家の屈原くつげんの故事に由来する。讒言ざんげんにより地方へ追放された屈原は、秦によって滅亡に瀕する祖国(楚)を憂いて、汨羅べきら江に身を投げた。屈原を救うため、多くの舟が競って漕ぎ出したという。これが〝競渡〟の発祥で、五月五日の屈原の命日に、供養として今も行われている。

端午の節句は七世紀前半には日本に伝わっていたようだ。『日本書紀』によれば、推古十九(六一一)年五月五日に、大和の菟田野うだののにて薬猟をしたとある。明け方、冠位の色と同じ色の衣装を纏った諸臣たちが冠に飾りを付け、着飾って薬猟へと出発している。

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

額田王

紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも

大海人皇子

大海人皇子(後の天武天皇)と額田王が、蒲生野の標野で交わした有名な相聞歌も、

ここから先をお読みいただくには
会員登録が必要です。

最新号のコンテンツ

連載 書き下ろし連作小説 (2021年6月号)

眼帯の下

本誌初の本格的小説。物語の炎は揺らめき、記憶の本質を解き明かす

連載 対話型インタビュー (2021年6月号)

比呂美の庭

注目の対話型インタビュー連載開始。詩人は如何に〆切を突破するのか

伊藤比呂美

連載 連載詩 (2021年6月号)

最少の言葉で詩作する試み

雨が降っている。紫陽花が生きているように、言葉も私も生きている

谷川俊太郎

連載 連載詩 (2021年6月号)

週末のアルペジオ

くちなしの香りにいざなわれて、よみがえる儚く甘い記憶、音、名前

三角みづ紀

連載 動画 (2021年6月号)

オンライン対談 谷川俊太郎×俵万智

最終回は俵さんへ伝説の「33の質問」登場。絶対見逃せない充実の60分

谷川俊太郎×俵万智

連載 エッセイ (2021年6月号)

寺子屋山頭火

祈りと救いをめぐる葛藤。堂守になったが、依然くすぶる山頭火の惑い

連載 イラスト評伝 (2021年6月号)

エピソードで知る種田山頭火

山頭火の人生の一大転換点となった出家。耕畝と改名し修行に励むが

春陽堂書店編集部

連載 動画 (2021年6月号)

待ってました! 黙阿弥歌舞伎への招待

名セリフを彦三郎の朗読とアニメで楽しむ電脳紙芝居「河内山宗俊」

春陽堂書店Web新小説編集部

連載 エッセイ (2021年6月号)

兼好のつれづれ絵草紙

一念発起して覚えたちあきなおみの「喝采」。しかし、楽屋での評判は…

三遊亭兼好

連載 エッセイ (2021年6月号)

俳句で味わう、日本の暮らし

中国の行事と古来習俗が融合した七夕。数多の俳人が詠んだ名句を鑑賞

連載 ウェブ絵巻 (2021年6月号)

漱石クロニクル ―絵で読む夏目漱石の生涯―

28歳の漱石。子規と過ごした松山・愚陀仏庵で大いに句作に熱中する

連載 俳句鑑賞 (2021年6月号)

楸邨山脈の巨人たち

独特な格式が存在感を示す楸邨山脈の代表・森澄雄を鑑賞する第一回

連載 医学ミステリー (2021年6月号)

Dr.よねやまの芸脳生活 芸術家の生き様を医学で考える

自制的な生き方によって独自の芸術を開花させた日本画家・川合玉堂

連載 動画&エッセイ (2021年6月号)

假屋崎省吾の絶品紀行~日々を華麗に彩る~

アジサイ、ハナショウブ、愛犬との散歩、「雨に唄えば」で爽快に!

假屋崎省吾

連載 紀行エッセイ (2021年6月号)

銭湯放浪記

子どもの頃に通った板橋・遠藤湯。淡い恋と少年時代の思い出が蘇る

連載 動画 (2021年6月号)

Dr.よねやまの芸脳生活

泉鏡花の生き方にみる季節と病気の関係~Dr.米山の必見YouTube好評配信中

連載 動画 (2021年6月号)

町田康のパンク山頭火ラヂオ

徒然なるままに山頭火を語る町田版自由律YouTube。注目の第4回配信

Web新小説会員登録はこちら