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『 俳句で味わう、日本の暮らし 』

黛まどか

俳句で味わう、日本の暮らし

黛まどか

第六回 土用

土用とは、立夏・立秋・立冬・立春前の各十八日間(または十九日間)を指す。中国の五行説では、春を〝木〟、夏を〝火〟、秋を〝金〟、冬を〝水〟と定め、〝土〟はそれぞれの季節の間に設けた。つまり土用は年に四回あるのだが、今では土用と言えば、夏のそれを指す。夏の土用の期間は〝暑中〟とも呼び、最も暑い季節だ。暑中見舞いはこの期間に出す。土用の初日を〝土用入〟というが、土用の入りから三日目を〝土用三郎〟と呼び、この日に晴れれば豊作、雨が降れば凶作として占った。

また、土用の期間は土を司る神(土公神どくじん)が支配するため、土に関係すること(土いじりや基礎工事等)を忌む風習がある。但し、土用の期間中禁忌が続くと生活に支障が出るため、方便として、土公神が土から出ている〝間日〟が各土用に三日間設けられ、この日は赦された。ちなみに夏土用の間日は、卯、辰、申の日。

淡きはは濃き父土用過ぎにけり

長谷川双魚

双魚晩年の作。遠き夏の日の父と母を詠っている。「淡き」とは、優しさであろう。「濃き」とは、頼もしさであろう。自分を柔らかく慈しんでくれた母と、いつも強く頼りがいがあった父。その像は亡き後も変わることなく作者のなかに結ばれているのだ。「淡き」「濃き」という形容詞に象徴させた母親像と父親像は、作者固有のものであり、且つ普遍的なものでもある。

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